戻る

青色申告とは?個人事業主が知っておくべき基礎知識と始め方

青色申告とは?個人事業主が知っておくべき基礎知識と始め方

個人事業主として開業したら、毎年の確定申告をどの方法で行うか決める必要があります。「青色申告」と「白色申告」の2つの選択肢がありますが、結論から言うと、ほとんどの個人事業主にとって青色申告のほうがメリットが大きいです。

この記事では、青色申告の仕組みから、必要な手続き、控除を最大化するための条件まで、初めての方にもわかりやすく解説します。


この記事のアドバイザー

記事監修アドバイザー認定済み

髙山 千愛美たかやま ちあみ2,000件以上のライフプラン相談を通じて、お客様の描く未来の実現をサポートしてきました。『お金の貯め方・増やし方・守り方・使い方』を一緒にひとつずつ、考えてみませんか💡1級ファイナンシャル・プランニング技能士証券外務員第一種宅地建物取引士得意分野: 資産運用・住宅ローン
投資スタイル: 長期積立分散を意識したインデックス投資/株主優待


青色申告とは?白色申告との違い

青色申告は、日々の取引を正確に帳簿に記録し、その帳簿に基づいて確定申告を行うことで、税制上の優遇措置を受けられる制度です。「青色」という名前は、申告書の表紙が青色だったことに由来しています。

個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。両者の主な違いは以下の通りです。

項目青色申告白色申告
事前申請必要(青色申告承認申請書)不要
記帳方法複式簿記または簡易簿記簡易簿記
特別控除最大65万円なし
赤字の繰越3年間可能不可
提出書類確定申告書+青色申告決算書確定申告書+収支内訳書

白色申告は手続きが簡単ですが、2014年1月からは所得金額にかかわらず、すべての白色申告者に記帳と帳簿書類の保存が義務化されています。記帳の手間があまり変わらないなら、控除などのメリットがある青色申告を選ぶ方が賢明です。


青色申告の対象者

青色申告ができるのは、以下の3つの所得がある人に限られます。

  1. 事業所得:個人事業主として事業を営んで得た所得

  2. 不動産所得:アパート経営や土地の貸付けで得た所得

  3. 山林所得:山林の伐採・譲渡で得た所得

会社員の給与所得や、副業で得た雑所得は青色申告の対象外です。フリーランスや個人事業主として事業を行っている方が主な対象となります。


青色申告特別控除の3つのランク

青色申告の最大のメリットは「青色申告特別控除」です。青色申告特別控除の控除額には65万円・55万円・10万円の3段階があり、満たす条件によって適用される金額が変わります。

65万円控除を受けるための条件

最大控除額である65万円を受けるには、以下のすべてを満たす必要があります。

  • 事業所得または不動産所得(事業的規模)があること

  • 複式簿記で帳簿をつけていること

  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること

  • 確定申告期限(翌年3月15日)までに申告書を提出すること

  • e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿保存を行っていること

たとえば、事業所得が400万円の場合、65万円控除が適用されると課税対象は335万円になります。所得税率が20%なら、これだけで約13万円の節税効果があります。

55万円控除を受けるための条件

65万円控除の条件のうち、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行わない場合は、55万円控除が適用されます。紙で確定申告書を提出する方は、こちらが上限となります。

10万円控除を受けるための条件

以下のいずれかに該当する場合は、10万円控除となります。

  • 簡易簿記(単式簿記)で記帳している

  • 貸借対照表を作成していない

  • 不動産所得が事業的規模でない

  • 山林所得のみの場合

10万円控除でも、記帳方式は単式簿記で問題なく、帳簿作成の負担は軽めです。青色申告特別控除は申告方法を変えるだけで受けられるため、ぜひ活用しましょう。


青色申告を始めるための手続き

青色申告を行うには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。必要書類は申請書のみで、手数料もかかりません。

青色申告承認申請書の提出期限

提出期限は状況によって異なります。

状況提出期限
すでに事業を営んでいる(白色から切り替え)青色申告を適用したい年の3月15日まで
1月1日〜1月15日に開業した同年の3月15日まで
1月16日以降に開業した開業日から2ヶ月以内

2026年分の確定申告を青色申告で行いたい場合、2026年3月16日(日曜のため翌日)までに申請書を提出する必要があります。期限を過ぎると、その年は白色申告しかできません。

青色申告承認申請書の提出方法

申請書は以下の3つの方法で提出できます。

  • e-Tax(電子申告):オンラインで24時間提出可能

  • 郵送:管轄の税務署宛に送付(消印日が提出日)

  • 窓口提出:税務署に直接持参(8:30〜17:00)

申請書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。開業届を提出するタイミングで、一緒に青色申告承認申請書も出しておくとスムーズです。


青色申告の必要書類

青色申告で確定申告を行う際に提出が必要な書類は以下の通りです。必要書類を事前に把握しておくことで、スムーズに申告を進められます。

1. 確定申告書

所得金額や税額を申告するメインの書類です。事業所得、不動産所得などの金額を記載します。

2. 青色申告決算書

青色申告者が提出する決算書で、以下の4ページで構成されています。

  • 1ページ目:損益計算書(収入・経費・利益の計算)

  • 2〜3ページ目:売上や経費の内訳

  • 4ページ目:貸借対照表(資産・負債・純資産の一覧)

65万円または55万円の控除を受けるには、貸借対照表の作成・添付が必須です。10万円控除の場合は損益計算書のみで問題ありません。

3. その他の必要書類

控除を受けるための証明書類も必要に応じて添付します。必要書類には、社会保険料控除証明書、生命保険料控除証明書、医療費の領収書(医療費控除を受ける場合)などが該当します。


青色申告の記帳と帳簿保存

青色申告では、日々の取引を帳簿に記録する「記帳」が求められます。

複式簿記と簡易簿記

65万円・55万円控除を受けるには複式簿記による記帳が必要です。複式簿記では、1つの取引を「借方」と「貸方」の両方で記録します。

たとえば、交通費1,500円を現金で支払った場合:

借方:旅費交通費 1,500円 / 貸方:現金 1,500円

簡易簿記(単式簿記)は現金の入出金のみを記録する方法で、複式簿記より簡単ですが、10万円控除しか受けられません。

帳簿の保存期間

帳簿や書類には法律で定められた保存期間があります。

書類の種類保存期間
仕訳帳・総勘定元帳7年間
現金出納帳・固定資産台帳など7年間
請求書・領収書7年間(前々年の所得が300万円以下なら5年間)

電子帳簿保存法に対応した会計ソフトを使えば、紙ではなく電子データで保存することも可能です。


青色申告のメリット

青色申告には、青色申告特別控除以外にもいくつかのメリットがあります。

赤字を3年間繰り越せる

事業で赤字(純損失)が出た年があっても、その赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越し、黒字と相殺できます。たとえば、1年目に100万円の赤字、2年目に50万円の黒字が出た場合、2年目の課税所得は0円になり、残り50万円の赤字は3年目以降に繰り越せます。白色申告ではこの繰越控除は使えません。

家族への給与を全額経費にできる

青色申告者で、生計を一にする配偶者や親族(15歳以上)に給与を支払っている場合、「青色事業専従者給与」として全額を必要経費に算入できます。事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しておく必要があります。白色申告では、配偶者86万円、その他の親族50万円が上限です。

少額減価償却資産の特例

取得価額が30万円未満の減価償却資産(パソコン、事務機器など)を、購入した年に全額経費として計上できます。通常は耐用年数に応じて毎年少しずつ経費計上しますが、この特例を使えば節税効果を早く得られます。年間300万円までが上限で、2026年3月31日までに取得した資産が対象です。

貸倒引当金の計上

売掛金や貸付金の一部を「貸倒引当金」として経費計上できます。一般の事業では貸金残高の5.5%以下が対象となります。


2025年分の確定申告スケジュール

2025年1月1日〜12月31日の所得に対する確定申告(2026年に行う申告)のスケジュールは以下の通りです。

手続き期限
青色申告承認申請書の提出(2026年分から適用の場合)2026年3月16日(月)
確定申告書の提出期間2026年2月16日(月)〜3月16日(月)
所得税の納付期限2026年3月16日(月)

※2026年3月15日が日曜日のため、期限は翌営業日の3月16日となります。

確定申告期限を過ぎると、65万円・55万円の青色申告特別控除が受けられなくなり、10万円控除になってしまいます。また、無申告加算税や延滞税が課される可能性もあるため、期限内の申告を心がけましょう。


会計ソフトを活用すると楽になる

複式簿記による記帳は慣れないと難しく感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば、初心者でも比較的スムーズに帳簿を作成できます。

会計ソフトのメリットは以下の通りです。

  • 取引を入力すると自動で仕訳が作成される

  • 仕訳帳や総勘定元帳が自動で作成される

  • 確定申告書や青色申告決算書の作成機能がある

  • e-Taxとの連携で電子申告ができる

  • 銀行口座やクレジットカードとの連携で入力の手間が減る

クラウド型の会計ソフトなら、月額1,000円前後から利用できるものもあります。税理士に依頼すると確定申告書類の作成だけで5〜10万円程度かかることを考えると、会計ソフトの活用はコストパフォーマンスに優れた選択肢です。


よくある質問

Q. 青色申告と白色申告、どちらを選ぶべき?

事業所得や不動産所得がある個人事業主なら、青色申告をおすすめします。記帳の手間は会計ソフトを使えばそれほど変わらず、65万円控除などのメリットを受けられます。ただし、副業で雑所得しかない場合や、事業規模が非常に小さい場合は白色申告でも問題ありません。

Q. 青色申告承認申請書を出し忘れたらどうなる?

提出期限を過ぎると、その年は青色申告ができず、自動的に白色申告になります。翌年分からは青色申告できるので、改めて申請書を提出してください。

Q. 確定申告の期限に遅れたらどうなる?

期限後でも申告(期限後申告)は可能ですが、65万円・55万円の青色申告特別控除が10万円に減額されます。また、無申告加算税(最大20%)や延滞税が課される可能性があります。

Q. e-Taxを使わないと65万円控除は受けられない?

e-Taxを使わない場合でも、「優良な電子帳簿保存」の要件を満たせば65万円控除を受けられます。ただし、電子帳簿保存の要件は厳格なため、e-Taxでの電子申告のほうが現実的です。e-Taxを使わず、紙で申告する場合は55万円控除が上限となります。


確定申告や税金のことで迷ったら、専門家に相談するのも一つの方法です。Habittoでは、国家資格を持つファイナンシャルプランナーに無料で相談できます。青色申告に関する疑問はもちろん、節税や資産形成についても、お金のプロと一緒に考えてみてはいかがでしょうか。