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iDeCoの節税効果とシミュレーション|所得控除の仕組みを解説

iDeCo(イデコ)の節税効果とは?シミュレーションで所得控除のメリットを解説

老後のお金の準備を考えるとき、iDeCo(個人型確定拠出年金)の名前を聞いたことがある方は多いと思います。「税金が減る」「節税になる」と言われますが、実際にいくらくらい節税になるのか、自分には関係があるのか、よくわからないままにしている方も少なくありません。

この記事では、iDeCoの3つの税制優遇の仕組みを解説したうえで、職業・年収別のシミュレーションで節税効果の目安を具体的に示します。


この記事のアドバイザー

記事監修アドバイザー認定済み

一條 知亮いちじょう ともすけ保険業界で資産活用のサポートに携わり、15年目になります。お客様それぞれに未来予想図があり、お金の活かし方も人それぞれです。夢の実現のために、ご自身にとって最適な資産活用方法を一緒に楽しく考えてみませんか?相続診断士得意分野: 資産運用・保険・ライフプラン作成
投資スタイル: 生命保険での資産形成・外国株式の長期分散投資


iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCoとは、個人が任意で加入できる私的年金制度です。正式名称は「個人型確定拠出年金」で、国が制度として設けている老後資産形成の手段の一つです。毎月一定額の掛金を自分で決めて拠出し、投資信託や定期預金などの金融商品で運用しながら積み立てていきます。積み立てた資産は、原則60歳以降に老齢給付金として受け取ることができます。

公的年金(国民年金・厚生年金)の上乗せとして、自分でコントロールできる老後資金を準備できる点が特徴です。加入対象は国民年金の被保険者であることが条件で、20歳以上60歳未満(一定条件下では65歳未満)が利用できます。


iDeCoの最大の魅力:3つの税制優遇

iDeCoが多くの方に注目される理由は、「積立時」「運用時」「受取時」の3つのタイミングで税制上の優遇を受けられる点にあります。

① 積立時:掛金が全額所得控除の対象になる

iDeCoの掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。所得控除とは、税金の計算のもとになる「課税所得」を減らす仕組みです。

たとえば年間24万円(月2万円)の掛金を拠出した場合、その24万円が課税所得から差し引かれます。課税所得が330万円超〜695万円以下のブラケット(所得税率20%)に該当する方であれば、所得税だけで年間4万8,000円の節税になります。住民税(一律10%)の軽減も加わるため、合計7万2,000円の税負担が減ります。

この控除は拠出している限り毎年受けられるため、長期間積み立てるほど累積の節税効果は大きくなります。

② 運用時:運用益が非課税になる

通常、投資信託や定期預金で得た利益(運用益)には約20.315%の税金がかかります。iDeCoの口座内で得た運用益はこの税金が非課税になります。

長期・積立運用においては、運用益を再投資することで利益が利益を生む「複利効果」が働きます。この複利効果に非課税が組み合わさると、長期になるほど通常の課税口座との差が広がります。

③ 受取時:退職所得控除または公的年金等控除が使える

iDeCoの受け取り方には「一時金(一括)」「年金(分割)」「併用」の3種類があります。受け取り方によって適用される控除が変わります。

一時金で受け取る場合:退職所得控除

一時金として受け取ると「退職所得」として扱われ、退職所得控除が適用されます。控除額はiDeCoの加入年数によって決まります。

  • 加入年数20年以下の場合:40万円 × 加入年数(最低80万円)

  • 加入年数20年超の場合:800万円 + 70万円 × (加入年数 − 20年)

たとえば25年間加入した場合、800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円が控除されます。受け取り資産が1,150万円以内であれば、全額非課税で受け取れる計算になります。

年金で受け取る場合:公的年金等控除

年金形式で受け取ると「雑所得」として扱われ、公的年金等控除が使えます。65歳未満の場合は年間60万円まで、65歳以上の場合は年間110万円まで(他の所得が1,000万円以下の場合)が控除されます。国民年金・厚生年金などの公的年金と合算して計算するため、受け取り金額によっては課税が発生する場合もあります。


職業・年収別の節税効果シミュレーション

節税額は「年収(課税所得)」と「拠出する掛金額」で決まります。以下のシミュレーションはすべて、所得税率表(租税特別措置法・所得税法)に基づいた計算で、復興特別所得税は考慮外としています。

シミュレーション①:会社員(年収400万円・企業年金なし・月2万円拠出)

  • 年間掛金:240,000円

  • 課税所得の目安:約200万円台〜300万円台

  • 適用所得税率:10%

  • 所得税の軽減額:240,000円 × 10% = 24,000円

  • 住民税の軽減額:240,000円 × 10% = 24,000円

  • 合計節税額:年間 約48,000円

20年間継続した場合、合計で約96万円の節税効果になります(税率が変わらない場合)。

シミュレーション②:会社員(年収600万円・企業年金なし・月2万3,000円拠出・上限額)

  • 年間掛金:276,000円

  • 課税所得の目安:約300万円後半〜400万円台

  • 適用所得税率:20%

  • 所得税の軽減額:276,000円 × 20% = 55,200円

  • 住民税の軽減額:276,000円 × 10% = 27,600円

  • 合計節税額:年間 約82,800円

シミュレーション③:自営業者(年収500万円・月4万円拠出)

  • 年間掛金:480,000円

  • 課税所得の目安:約300万円〜400万円台(経費差し引き後)

  • 適用所得税率:20%

  • 所得税の軽減額:480,000円 × 20% = 96,000円

  • 住民税の軽減額:480,000円 × 10% = 48,000円

  • 合計節税額:年間 約144,000円

自営業者は掛金の上限が会社員より大きいため、節税額のポテンシャルも高くなります。

シミュレーション④:専業主婦(所得なし・月5,000円拠出)

  • 年間掛金:60,000円

  • 所得税率:0%(所得なしのため)

  • 住民税率:0%(所得なしのため)

  • 積立時の節税額:ゼロ

専業主婦の方は掛金の所得控除による節税メリットを受けられませんが、運用時の非課税メリットは同様に受けられます。将来の受け取り時に控除が使える点も変わりません。


職業別の掛金上限額(2026年3月現在)

iDeCoの掛金上限は職業によって異なり、確定拠出年金法に基づいて定められています。2024年12月の制度改正を経た現在(2026年3月)の上限額は以下のとおりです。

職業・加入区分月額上限年間上限
自営業者・フリーランス等(第1号被保険者)68,000円 ※1816,000円
会社員(企業年金なし)23,000円276,000円
会社員(企業型DC・DB等あり)20,000円 ※2240,000円
公務員(共済加入)20,000円 ※2240,000円
専業主婦・専業主夫(第3号被保険者)23,000円276,000円

※1 国民年金基金または国民年金付加保険料との合算額が上限。
※2 勤務先の企業型DCや確定給付年金の掛金相当額との合算で月額55,000円を超えることはできません。
最低掛金は月5,000円(1,000円単位で変更可能)。

なお、2026年12月には制度改正が予定されており、2027年1月引き落とし分から掛金上限が大幅に引き上げられる見込みです。自営業者は月75,000円、会社員・公務員は企業年金との合算で月62,000円への引き上げが予定されています(厚生労働省の施行スケジュールより)。


年末調整・確定申告での手続き方法

会社員の場合:年末調整で対応

会社員の方は、毎年秋頃に加入している金融機関から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届きます。この証明書を年末調整の書類(給与所得者の保険料控除申告書)に添付して勤務先に提出することで、所得控除が適用されます。確定申告は原則不要です。

自営業・フリーランスの方:確定申告で対応

確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に掛金の合計額を記載し、払込証明書を添付します。


iDeCo利用前に知っておきたい注意点

原則60歳まで引き出しできない

iDeCoの最大の注意点は、原則として60歳になるまで積み立てた資産を引き出せないことです。住宅購入、教育費、急な出費など、ライフイベントが重なる時期に使えないお金になります。掛金は無理のない金額で設定することが重要です。

受取時に課税が発生する可能性がある

一時金・年金どちらで受け取る場合でも、控除を超えた部分には課税されます。また、2026年1月からは退職所得控除に関する「10年ルール」が適用されています。これは、iDeCoの一時金を先に受け取った後に勤務先の退職金を受け取る場合、退職所得控除を別々に使うには10年以上の間隔が必要になるという変更です(従来は5年)。退職金とiDeCoの受取時期については、事前に確認しておく必要があります。

運用成果は保証されない

iDeCoは元本確保型の定期預金と、元本変動型の投資信託の両方から商品を選べます。投資信託を選んだ場合、運用成果によっては積み立てた元本を下回る可能性があります。長期運用が前提の制度ですが、リスクを理解した上で商品を選ぶことが大切です。

口座管理手数料がかかる

iDeCoでは、国民年金基金連合会と信託銀行に対して、掛金拠出時・口座管理にかかる手数料が発生します(月105円程度〜)。これは法定費用で、どの金融機関を選んでも共通です。金融機関によっては独自の口座管理手数料が加わる場合もあります。


iDeCoが特に向いている方

以下に当てはまる方は、iDeCoの節税メリットを活用しやすい傾向があります。

  • 給与所得・事業所得があり、所得税・住民税を支払っている方

  • 60歳まで使う予定がなく、長期的に積み立てられる資金がある方

  • 老後の公的年金だけでは不安があり、上乗せで準備をしたい方

  • 年末調整や確定申告を通じて節税の仕組みを活用したい方


iDeCoは節税しながら老後資金を準備できる制度ですが、拠出額の設定や受取方法の選択は、個人の収入・ライフプラン・勤務先の制度によって変わります。「自分の場合はいくら拠出すればいいか」「NISAとどう使い分ければよいか」など、迷ったときは専門家に相談するのも一つの方法です。Habittoのアドバイザーサービスでは、国家資格を持つファイナンシャルプランナーにチャットまたはオンラインセッションで無料相談ができます。無理な勧誘は一切ありませんので、お金の疑問を気軽に話してみてください。


※本記事のシミュレーションは、所得税法に定める税率表(2015年以降適用分)と住民税率(一律10%)に基づいた概算であり、復興特別所得税、社会保険料控除その他の控除は考慮していません。実際の節税額は個人の所得・控除の状況によって異なります。

※掛金上限額は確定拠出年金法に基づく2026年3月時点の情報です。制度改正により変更になる場合があります。最新の情報は国民年金基金連合会または金融機関にご確認ください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の金融・税務アドバイスではありません。具体的なご判断はご自身の責任で行ってください。