生命保険料控除の計算方法|新旧制度の違いと控除額を解説
生命保険料控除の計算方法をわかりやすく解説|年末調整・確定申告で使える基礎知識
生命保険や医療保険・個人年金保険に加入している方は、毎年の所得税・住民税を減らせる「生命保険料控除」を活用できます。年末調整や確定申告の時期になると控除証明書が届きますが、「どう計算すればいいのか」「いくら戻ってくるのか」をきちんと理解している方は意外と少ないものです。
この記事では、生命保険料控除の仕組み・計算方法・控除額の上限・年末調整と確定申告それぞれの手続き方法を解説します。
この記事のアドバイザー
記事監修アドバイザー認定済み田口 秀一(タグチ シュウイチ)外資系金融機関で10年以上の経験を通し、主に「投資初心者」向けに、「賢い家計の見直し術」から「ゼロからの投資の始め方」などのオーダーメードでサポートをしてきました。何事も興味を持ったタイミングが始め時です。不安もあるかもしれませんが、この機会に一緒に最初の一歩を踏み出しましょう!得意分野: 資産運用・生命保険
生命保険料控除とは
生命保険料控除は、1年間に支払った生命保険料・医療保険料・個人年金保険料の一定額を所得から差し引くことで、所得税・住民税の負担を軽減できる制度です(所得税法第76条)。
控除を受けることで課税所得が減り、結果として所得税・住民税が減額されます。保険料を支払っているだけで自動的に適用されるわけではなく、年末調整または確定申告で申告する必要があります。
新制度と旧制度:2012年1月1日が境目
生命保険料控除には「新制度」と「旧制度」があり、保険契約の締結日によって適用されるルールが異なります。
| 制度 | 対象となる契約 |
|---|---|
| **旧制度** | 2011年12月31日以前に締結した契約 |
| **新制度** | 2012年1月1日以後に締結した契約 |
同じ人が新制度・旧制度両方の契約を持っている場合、それぞれの計算をしたうえで合計額を控除額として申告できます(上限の合計額に注意が必要です)。
生命保険料控除の3つの区分
新制度の3区分
新制度では、保険の種類によって以下の3つに区分されます。
| 区分 | 対象となる保険の種類 |
|---|---|
| 一般生命保険料控除 | 死亡保険(定期保険・終身保険など)、学資保険 |
| 介護医療保険料控除 | 医療保険、介護保険、がん保険など(新制度から新設) |
| 個人年金保険料控除 | 個人年金保険(税制適格特約付き) |
旧制度の2区分
旧制度では介護医療保険料控除の区分はなく、2区分です。
| 区分 | 対象となる保険の種類 |
|---|---|
| 一般生命保険料控除 | 死亡保険・医療保険・学資保険など |
| 個人年金保険料控除 | 個人年金保険(税制適格特約付き) |
生命保険料控除の計算方法
新制度の計算式(所得税)
年間支払保険料に応じて、以下の段階で控除額が計算されます。
| 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 20,001円〜40,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 10,000円 |
| 40,001円〜80,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律 40,000円(上限) |
各区分(一般・介護医療・個人年金)ごとに上限40,000円、3区分合計の上限は120,000円です。
旧制度の計算式(所得税)
| 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 25,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 25,001円〜50,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 12,500円 |
| 50,001円〜100,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 25,000円 |
| 100,001円以上 | 一律 50,000円(上限) |
各区分の上限は50,000円、2区分合計の上限は100,000円です。
住民税の計算式(新制度)
住民税の控除計算は所得税と計算式が異なります。
| 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 12,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 12,001円〜32,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 6,000円 |
| 32,001円〜56,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 14,000円 |
| 56,001円以上 | 一律 28,000円(上限) |
3区分合計の住民税控除の上限は70,000円です。
計算例:新制度で医療保険を1つ持っている場合
たとえば、2015年に契約した医療保険(介護医療保険料控除の区分)で年間保険料が80,000円の場合:
80,000円 × 1/4 + 20,000円 = 40,000円(上限に達するため40,000円)
この40,000円が課税所得から差し引かれます。所得税率が20%の方なら、所得税が8,000円軽減されます。住民税(一律10%)でも別途控除が計算されます。
新制度・旧制度が混在している場合
同じ控除区分(例:一般生命保険料控除)に新制度と旧制度の両方の契約がある場合は、それぞれの計算結果を合算できますが、合計額の上限があります。
一般生命保険料控除(新旧合算):所得税上限 40,000円
個人年金保険料控除(新旧合算):所得税上限 40,000円
介護医療保険料控除(新制度のみ):所得税上限 40,000円
新旧の一般生命保険料控除を両方持っている場合の上限は、新制度のみの場合と同じ40,000円です(合算しても上限を超えた分は切り捨て)。詳細な合算ルールは申告書裏面の計算欄または国税庁のタックスアンサー(No.1140)で確認してください。
控除の対象となる保険・対象外の保険
対象となる主な保険
死亡保険(定期保険・終身保険・養老保険など)
医療保険・がん保険・入院保険
介護保険
個人年金保険(税制適格特約付き)
学資保険(生存・死亡に基因して保険金が支払われるもの)
対象外となる主なケース
保険期間が5年未満の貯蓄性保険(財形保険を除く)
損害保険(火災保険・自動車保険など)※地震保険は別の控除制度あり
受取人が法人(会社)になっているもの
受取人が配偶者・子・親族以外になっているもの
年末調整での手続き方法
会社員の方は年末調整で生命保険料控除を申告できます。
手順
保険料控除証明書を用意する
毎年秋〜11月頃に保険会社から郵送または電子交付されます。電子交付を選んでいる場合は、マイページやメールで受け取ります。届いたら紛失しないよう保管してください。「給与所得者の保険料控除申告書」に記入する
勤務先から渡される年末調整書類の一つです。生命保険料控除の欄に、区分(一般・介護医療・個人年金)ごとに支払保険料を記入し、控除額を計算します。書類の裏面または欄内に計算方法が記載されています。証明書を添付して勤務先に提出する
記入済みの申告書に控除証明書を添付して、会社の指定する期限までに提出します。
証明書が届いていない場合
証明書が未着の場合は、保険会社に再発行を依頼してください。電子証明書の場合はマイページからダウンロードできます。
確定申告での手続き方法
自営業・フリーランスの方、または会社員で年末調整に間に合わなかった方は確定申告で申告します。
手順
確定申告書(第一表・第二表)と保険料控除証明書を用意する
第二表の「生命保険料控除」欄に保険料を記入し、控除額を計算する
控除証明書を添付(または電子申告の場合はデータ添付)して提出する
e-Taxで申告する場合、電子交付された控除証明書はそのままデータとして添付できます。
生命保険料控除は、加入している保険を整理して申告するだけで毎年一定額の税負担が軽くなる制度です。証明書が届いたら内容を確認し、申告漏れのないよう手続きを進めましょう。
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※本記事の計算式・上限額は所得税法第76条に基づく2012年以降の制度内容です。契約時期・保険の種類によって適用されるルールが異なります。詳細は国税庁ウェブサイト(タックスアンサー No.1140)または税務署にてご確認ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。