生前贈与の基本を解説|メリット・注意点・贈与税の仕組みと活用方法
生前贈与の基本をわかりやすく解説|メリット・注意点・贈与税の仕組みと活用方法
相続対策として「生前贈与」を検討している方、あるいは親から「財産を少し渡しておきたい」と言われた方に向けて、生前贈与の仕組みと注意点を解説します。
生前贈与は有効な相続対策の一つですが、やり方を誤ると贈与税が発生したり、相続時に問題になったりするケースもあります。制度の基本を正しく理解することが、活用の出発点です。
この記事のアドバイザー
記事監修アドバイザー認定済み 芳恵(よしえ)外資系保険会社で8年以上の経験を通し、1000名以上のお客様のライフプランや資産運用をサポートしてまいりました。あなたの大切な「今」と「未来」の生活を豊かにするための「お金の新習慣」。その一歩を、一緒に踏み出してみませんか。2級ファイナンシャル・プランニング技能士得意分野: 資産運用・生命保険
生前贈与とは
生前贈与とは、財産を持つ人(贈与者)が生きている間に、他の人(受贈者)に財産を無償で渡すことです。通常、財産の移転は亡くなった後の相続によって行われますが、生前に贈与することで相続財産を減らし、将来の相続税負担を軽減する効果が期待できます。
贈与は現金・預貯金・不動産・有価証券などさまざまな財産が対象になります。贈与を受けた受贈者には、原則として贈与税がかかります。
贈与税の基本的な仕組み
暦年課税制度:年間110万円の非課税枠
贈与税の基本的な計算方法が「暦年課税」です。1月1日から12月31日までの1年間に、1人の受贈者が受け取った贈与の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して贈与税がかかります(国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」より)。
つまり、年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。この非課税枠を利用して毎年少額ずつ贈与を続ける方法が「暦年贈与」と呼ばれ、生前贈与の代表的な活用方法です。
贈与税の税率
暦年課税の贈与税率は、基礎控除後の課税価格に対して10%から55%の累進税率が適用されます。贈与者と受贈者の関係(直系尊属からの贈与か否か)と受贈者の年齢によって「一般税率」と「特例税率」に分かれます(国税庁「贈与税の税率」より)。
一般税率は兄弟・配偶者など、特例税率は父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用され、特例税率のほうが低く設定されています。
生前贈与のメリット
メリット1:相続財産を減らして相続税負担を軽減できる
生前に財産を贈与することで、相続時の遺産総額を減らせます。相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える財産がある場合、生前贈与は有効な相続税対策になります。
毎年の暦年贈与を長期間継続することで、相続財産を計画的に移転できます。
メリット2:財産を渡したい人に確実に渡せる
相続は法定相続分に基づく分割が基本となり、遺産分割協議でトラブルが生じることがあります。生前贈与は贈与者の意思で特定の人に財産を渡せるため、「この財産は特定の子ども・孫に使ってほしい」という意図を実現しやすい方法です。
メリット3:贈与を受けた側が生きているうちに財産を活用できる
相続は財産を持つ人が亡くなった後に発生しますが、生前贈与は受贈者が現役世代のうちに財産を受け取ることができます。たとえば、子どもや孫の住宅購入・教育費・生活費など、実際に必要なタイミングで資金を活用できます。
主な非課税制度と特例
贈与税には、一定の条件を満たした場合に非課税になる制度や特例があります。いずれも適用要件・申告手続きが定められており、要件を満たさないと非課税が適用されません(国税庁「贈与税がかからない財産」より)。
相続時精算課税制度
60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与を対象に、累計2,500万円まで贈与税を非課税とする制度です。2,500万円を超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。
2024年1月1日以降の贈与分から、年間110万円の基礎控除が追加されました。ただし、相続時精算課税を選択した財産は、将来の相続時に相続財産に加算して精算されます(相続税の支払い時にまとめて計算される仕組み)。
相続時精算課税は一度選択すると暦年課税に戻せないため、慎重な判断が必要です。
教育資金の一括贈与の非課税制度
直系尊属(父母・祖父母)から30歳未満の子・孫への教育資金贈与について、受贈者1人あたり1,500万円まで非課税になる制度です。金融機関の専用口座に資金を預け、教育費として使用した金額が非課税となります。
適用期限・要件は法改正で変更されることがあるため、利用を検討する際は国税庁または金融機関の最新情報を確認してください。
住宅取得等資金の贈与の非課税制度
父母・祖父母から子・孫への住宅取得資金の贈与について、一定額まで非課税になる制度です。住宅の種類(省エネ・耐震・バリアフリー性能など)によって非課税限度額が異なります。適用要件・期限は定期的に改正されます。
生前贈与の注意点
注意点1:持ち戻し期間の拡大(2024年改正)
暦年贈与で渡した財産であっても、贈与者が亡くなる前一定期間内の贈与は相続財産に加算されます。この期間が2024年1月1日以降の贈与分から3年から7年に延長されました(国税庁「相続財産に加算される生前贈与」より)。
具体的には、亡くなる前7年以内に行った贈与(ただし延長分の4年間については総額100万円まで加算なし)は相続財産に含めて相続税を計算します。「相続直前に慌てて贈与しても効果が薄い」という点は、以前より一層当てはまります。長期間にわたる計画的な贈与が重要です。
注意点2:名義預金と判断されるリスク
「子ども・孫名義の口座に毎年入金しているが、子どもや孫は口座の存在を知らない・管理していない」という状態は「名義預金」とみなされる可能性があります。
名義預金と判断されると、実質的には贈与者の財産とされ、生前贈与の効果が認められません。生前贈与を有効にするためには、受贈者が贈与の事実を認識し、自分で口座を管理していることが必要です。
注意点3:贈与契約書の作成
贈与は当事者間の合意によって成立しますが、口頭の合意だけでは後から認定が難しくなる場合があります。毎年の暦年贈与であっても、贈与のたびに贈与契約書を作成し、受贈者名義の口座に入金する記録を残しておくことが大切です。
注意点4:定期贈与とみなされるリスク
毎年一定額を長期にわたって贈与する場合、「最初から総額を贈与する約束があった」と判断されると、毎年の110万円の非課税枠が適用されず、総額に対して贈与税が課税される「定期贈与」と認定されることがあります。
毎年の贈与金額や時期を意図的に変える、贈与のたびに贈与契約書を作成するなど、各年の贈与が独立した合意に基づくものであることを示す記録が重要です。
注意点5:贈与税の申告が必要な場合
年間の受贈額が110万円を超える場合、受贈者は翌年3月15日までに贈与税の申告・納付が必要です。相続時精算課税制度を利用する際も、選択届出書の提出と申告手続きが必要です(国税庁「贈与税の申告と納税」より)。
申告が必要なケースで申告を怠ると、加算税・延滞税が生じる可能性があります。
生前贈与を活用するうえでの基本的な考え方
生前贈与は、早めに長期間にわたって計画的に行うほど効果が大きくなります。一方で、相続税・贈与税の制度は改正されることがあり、個別の家族構成・財産状況によって最適な方法が異なります。
また、相続・贈与の問題は、税務だけでなく家族間の公平感やトラブル防止の観点も含めて考える必要があります。
生前贈与や相続対策を本格的に検討する際は、税理士・公認会計士・弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。ライフプラン全体から整理したい場合は、Habittoのファイナンシャルプランナーに無料で相談する選択肢もあります。国家資格を持つFPが、チャットやオンラインセッションでご自身の状況に合ったアドバイスをお伝えします。税務の個別判断は税理士の領域になりますが、「何から整理すればよいか」「どんな専門家に相談すべきか」という入口の整理から対応できます。無理な勧誘は一切ありませんので、お気軽にご利用ください。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法律アドバイスではありません。税務上の判断・申告については税理士・税務署にご相談ください。制度の詳細・最新情報は国税庁ウェブサイト(
※0.6%(税引後0.478%)の金利は預金額100万円まで適用、100万円を超える預金については0.3%(税引後0.239%)の金利が適用されます。表示されている金利は年利です。他の商品・サービスの購入や給振口座指定などの条件を伴わない普通預金として。金利は変動する場合があります。