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出産費用の平均額はいくら?自己負担を抑える制度と方法を解説

出産費用はいくらかかる?妊娠から分娩までの平均額と自己負担を抑える制度を解説

妊娠がわかると、嬉しい気持ちとともに「出産費用ってどのくらいかかるんだろう」という不安も出てきますよね。実際、妊娠から出産までにかかる費用は、想像以上に大きな金額になることもあります。

この記事では、出産費用の全国平均や都道府県別の違い、分娩方法による費用の差、そして自己負担を軽減するための公的制度について解説します。


この記事のアドバイザー

記事監修アドバイザー認定済み

一條 知亮いちじょう ともすけ保険業界で資産活用のサポートに携わり、15年目になります。お客様それぞれに未来予想図があり、お金の活かし方も人それぞれです。夢の実現のために、ご自身にとって最適な資産活用方法を一緒に楽しく考えてみませんか?相続診断士得意分野: 資産運用・保険・ライフプラン作成
投資スタイル: 生命保険での資産形成・外国株式の長期分散投資


出産費用の平均はどのくらい?

厚生労働省のデータによると、2024年度の正常分娩にかかる出産費用の全国平均は約51万9,805円でした。この金額は室料差額やお祝い膳などの付加サービスを除いた費用で、これらを含めると平均59万円程度になります。

出産費用は年々上昇しており、10年間で約9万円、2割近く増加しています。物価高騰や人件費の上昇が主な要因です。

出産費用の内訳を見てみると、主に以下のような項目で構成されています。

・入院料:妊婦に係る室料、食事料 ・分娩料:医師・助産師の技術料、分娩時の看護・介助料 ・新生児管理保育料:新生児に係る管理・保育に要した費用 ・検査・薬剤料:妊婦に係る検査・薬剤料 ・処置・手当料:医学的処置や乳房ケア、産褥指導等

これらの費用は医療機関によって異なり、病院の規模やサービス内容によって大きく変わります。


都道府県で出産費用はこんなに違う

出産費用には地域差があり、都道府県によって20万円以上の差が生じることもあります。

2024年度のデータでは、最も費用が高いのは東京都で平均約64万8,309円、最も低いのは熊本県で約40万4,411円でした。その差は約1.6倍にもなります。

費用が高い都道府県は東京都を筆頭に、神奈川県、栃木県、宮城県、埼玉県などが上位に並びます。一方、費用が低い都道府県は熊本県、鳥取県、佐賀県などとなっています。

この差が生まれる理由はいくつかあります。都市部では施設の維持費や人件費が高く、充実したサービスを提供する医療機関が多いため、費用が高くなる傾向があります。


分娩方法によって費用はどう変わる?

出産費用は分娩方法によっても大きく異なります。

正常分娩(自然分娩) の場合、費用の目安は30〜60万円程度です。医療処置が少ないため、他の方法と比べて費用は抑えられます。ただし、健康保険が適用されないため、費用は全額自己負担となります。

帝王切開 の場合、分娩費用自体は診療報酬点数で定められており、予定帝王切開で約20万1,400円、緊急帝王切開で約22万2,000円です。手術にかかる費用は健康保険が適用されるため、3割負担で済みます。ただし、入院期間が長くなる傾向があり、入院費用が加算されることで総額は正常分娩より高くなることもあります。

無痛分娩 は、正常分娩の費用に10〜20万円程度が上乗せされます。麻酔を使用するため追加費用が発生しますが、この部分は保険適用外となります。


妊娠中にかかる費用も忘れずに

出産費用だけでなく、妊娠中の妊婦健診にも費用がかかります。厚生労働省は、妊娠8週頃から出産までに計14回の健診を推奨しています。

妊婦健診1回あたりの費用は、通常の検査で1,000〜5,000円程度、血液検査など特別な検査を行う場合は1〜2万円程度かかることもあります。

ただし、市区町村から妊婦健診の補助券が交付されるため、実際の自己負担はかなり軽減されます。補助額は自治体によって異なりますが、全国平均で約10万8,000円の助成が受けられます。補助券を使っても、妊娠期間全体で1〜10万円程度の自己負担は発生すると考えておくとよいでしょう。

また、マタニティ用品やベビー用品の準備にも10〜15万円程度かかります。これらは助成制度の対象外なので、全額自己負担となります。


自己負担を軽減する公的制度

妊娠・出産には多くの費用がかかりますが、公的制度を活用すれば負担を大きく軽減できます。

出産育児一時金

出産育児一時金は、健康保険に加入している人が妊娠4カ月(85日)以上で出産した場合に支給される制度です。赤ちゃん1人につき50万円が支給されます。双子の場合は100万円、三つ子なら150万円です。

産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合や、妊娠22週未満での出産の場合は48万8,000円となります。

2023年5月〜2024年9月のデータでは、出産費用が出産育児一時金の50万円を超過したケースは全体の約45%でした。つまり、約55%の方が一時金の範囲内で出産できています。ただし、室料差額等を含む負担額で見ると、全国で80%が一時金より多かったというデータもあります。

直接支払制度の利用方法

出産育児一時金には「直接支払制度」があり、これを利用すると出産費用を事前に用意する必要がありません。健康保険から医療機関へ直接一時金が支払われるため、退院時には差額分のみを支払えばよい仕組みです。

利用方法は簡単で、分娩予約から退院までの間に医療機関から説明があり、合意書に必要事項を記入するだけです。事前に協会けんぽなどへの申請は不要です。

出産費用が50万円を下回った場合は、後日、差額分を請求することで受け取れます。出産後約3カ月後に、申請に必要な書類が協会けんぽから届きます。

出産手当金

会社員や公務員など、健康保険に加入している人が出産のために仕事を休んだ場合、出産手当金が支給されます。支給額は、休業1日につき「標準報酬日額の3分の2」です。

支給期間は、出産日(出産予定日より遅れた場合は予定日)以前42日から、出産日後56日までの間で仕事を休んだ日数分です。多胎妊娠の場合は、出産前の期間が98日に延長されます。

国民健康保険に加入している自営業の方などは、出産手当金の対象外となります。

高額療養費制度

帝王切開など保険適用の医療処置を受けた場合、高額療養費制度を利用できます。1カ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が後から払い戻される制度です。

自己負担限度額は収入によって異なります。たとえば年収約370〜770万円の方の場合、自己負担限度額は「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」で計算されます。

事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。

医療費控除

妊娠・出産にかかった費用は、確定申告で医療費控除の対象になります。年間の医療費が10万円を超えた場合、超えた分を所得から控除でき、所得税の還付を受けられます。

妊婦健診の費用、入院・分娩費用、通院のための交通費なども対象になります。領収書は大切に保管しておきましょう。


出産費用を抑えるコツ

公的制度を最大限活用しながら、出産費用を抑えるためのポイントをいくつか紹介します。

分娩施設の比較検討

同じ地域でも、医療機関によって費用は大きく異なります。厚生労働省が運営する「出産なび」というウェブサイトでは、全国の分娩施設ごとの平均出産費用やサービス内容を簡単に比較できます。

入院時の部屋選び

個室と大部屋では、室料差額で数万円の差が出ることがあります。プライバシーを重視するか、費用を抑えるかは、ご自身の優先順位で判断しましょう。

計画的な貯蓄

出産育児一時金で賄えない費用や、マタニティ・ベビー用品の購入費用に備えて、妊娠がわかったら早めに貯蓄を始めると安心です。たとえば100万円を年利0.6%の口座に1年間預けると、約6,000円(税引後約4,780円)の利息がつきます。出産費用のための貯蓄口座として、少しでも金利の高い口座を選ぶと、コツコツお金を育てることができます。

※Habittoでは100万円まで年利0.6%(税引後0.478%)、100万円を超える部分は年利0.3%(税引後0.239%)


出産費用の無償化に向けた制度改正の動き

厚生労働省は出産費用の自己負担無償化に向けた検討を進めています。2025年12月には、分娩費用を全国一律にして正常分娩の自己負担をゼロにする制度案が示されました。

現在、正常分娩は保険適用外のため、医療機関が自由に価格を設定しています。新制度では、公的医療保険を適用し、全国一律の公定価格とする方向で検討されています。「お祝い膳」やエステなどの付加サービスは無償化の対象外となり、料金体系を分けて原則自己負担とする方針です。

法案提出は2026年の通常国会を目指しており、実施時期は今後詰められる予定です。実現すれば出産に伴う経済的負担が大きく軽減されることが期待されます。


お金の不安は早めに相談を

妊娠・出産にかかる費用は、総額で80〜100万円程度になることもあります。公的制度をフル活用すれば自己負担を抑えられますが、それでも事前の準備は欠かせません。

「どのくらい貯金しておけばいいの?」「どの制度を使えばいいの?」といった疑問があれば、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのも一つの方法です。Habittoでは国家資格を持つFPに無料で何度でも相談できます。無理な勧誘は一切ありませんので、気軽に試してみてください。