手取りと額面の違いを解説|年収・月収別の手取り計算方法と早見表【2026年版】
手取りと額面の違いを解説|年収・月収別の手取り計算方法と早見表【2026年版】
「年収400万円って言われたけど、実際に毎月もらえる金額はいくらなんだろう?」
転職活動や就職活動で提示された年収を見て、こんな疑問を感じたことはありませんか。額面の年収と実際の手取り額には、思った以上に大きな差があります。国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は460万円ですが、そこから税金や社会保険料が差し引かれるため、手元に残る金額は大幅に少なくなります。
この記事では、手取りと額面の違いから、月収・年収別の手取り計算の方法、2026年度の税制改正による変化まで、具体的な数字を使ってわかりやすく解説します。
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手取りと額面の違いとは
額面とは何か
「額面」とは、会社が支給する給与の総支給額のことです。基本給に加えて、残業手当・通勤手当・住宅手当・家族手当などの各種手当を含めた合計金額が額面になります。求人票や雇用契約書に記載されている「年収」や「月給」は、基本的にこの額面の金額です。
給与明細を確認すると、「支給」の欄に記載されている合計が額面にあたります。転職活動などで提示される年収は、この額面ベースで表示されるのが一般的です。
手取りとは何か
「手取り」とは、額面から税金と社会保険料を差し引いた後に、実際に口座へ振り込まれる金額のことです。毎月の生活費や貯蓄に使えるのは、この手取り額です。
手取りと額面の違いを一言で表すと、「手取り=額面-控除額」となります。控除の内訳は大きく分けて「社会保険料」と「税金」の2種類です。
手取りは額面のおよそ75〜85%が目安
一般的に、手取り額は額面のおよそ75〜85%が目安とされています。年収や扶養家族の有無、各種手当の条件によって割合は変動しますが、この範囲を参考にするとよいでしょう。年収が高くなるほど税率が上がるため、手取りの割合はやや低くなる傾向があります。
額面から差し引かれる4つの控除
① 健康保険料
健康保険料は、病気やけがの際の医療費をカバーする社会保険料です。2026年度の協会けんぽの健康保険料率は全国平均9.9%(前年度10.0%から0.1%引き下げ)で、労使折半のため従業員負担は全国平均4.95%となります。
さらに2026年4月からは子ども・子育て支援金率(0.115%)の徴収も開始されており、実際の従業員負担率は健康保険料率と合わせた金額になります。なお、40歳以上65歳未満の方は介護保険料も加わるため、負担額がさらに増えます。
② 厚生年金保険料
厚生年金保険料率は18.3%で、労使折半により従業員負担は9.15%です。この料率は2017年9月以降変わらず固定されており、2026年度も同様です。月収が高いほど保険料の金額は大きくなりますが、将来受け取れる年金額も増える仕組みになっています。
③ 雇用保険料
雇用保険料は、失業した際の給付などに使われる保険料です。2026年度の一般の事業における雇用保険料率は13.5/1,000(1.35%)で、そのうち労働者負担分は5/1,000(0.5%)です。前年度の14.5/1,000から1/1,000(0.1%)引き下げられました。
④ 所得税・住民税
所得税は、年収から各種控除を差し引いた課税所得に対して課される税金です。税率は課税所得の金額によって5〜45%の累進課税となっています。住民税は前年の所得をもとに計算され、税率は原則として一律10%です。
所得税の計算には基礎控除が重要な役割を果たします。2026年度の税制改正により、基礎控除額が引き上げられたため、多くの給与所得者の税負担が軽減されています(詳しくは後述)。
2026年度の税制改正で手取りはどう変わる
基礎控除の引き上げ
国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」によると、2026年度の税制改正で所得税の基礎控除額が本則62万円(改正前58万円)に引き上げられました。この改正は原則として2026年12月1日に施行され、2026年分以後の所得税に適用されます。
さらに年収665万円以下(合計所得金額489万円以下)の中低所得者には特例として42万円が加算され、合計104万円の基礎控除が適用されます。これにより、中低所得者の税負担が大きく軽減されます。
給与所得控除の最低保障額の引き上げと年収の壁
国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」によると、給与所得控除の最低保障額も74万円(本則69万円+特例5万円)に引き上げられました。これにより、給与所得者の課税最低限、いわゆる「年収の壁」は178万円となります。
なお、2026年11月までの源泉徴収事務には変更が生じないため、毎月の給与明細への影響は2026年12月以降に現れます。年末調整で精算されるため、最終的な手取り額への影響は年末に確定します。
社会保険の適用拡大
厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」によると、いわゆる「年収106万円の壁」として意識されていた月額8.8万円以上の賃金要件を撤廃する方針が示されています。2026年10月を目途に施行が見込まれており、パートタイム労働者の社会保険加入対象が拡大する予定です。対象となる方は手取り額が変動する可能性があるため、注意が必要です。
月収・年収別の手取り早見表
年収と手取りの関係を把握するための目安として、以下の早見表を参考にしてください。なお、この表は独身・扶養なし・40歳未満・協会けんぽ加入(東京都)を前提とした概算です。実際の手取り額は条件によって変動します。
| 年収(額面) | 手取りの目安 | 手取り割合の目安 |
|---|---|---|
| 200万円 | 約170万円 | 約85% |
| 300万円 | 約248万円 | 約83% |
| 400万円 | 約318万円 | 約80% |
| 500万円 | 約393万円 | 約79% |
| 600万円 | 約462万円 | 約77% |
| 700万円 | 約530万円 | 約76% |
| 800万円 | 約594万円 | 約74% |
| 1,000万円 | 約720万円 | 約72% |
年収が上がるほど、税率が高くなるため手取りの割合は低くなります。扶養家族がいる場合や住宅ローン控除などの各種控除を活用している場合は、手取り額がこれより多くなることがあります。
手取り計算の具体的な方法と計算例
計算例①:月収30万円(年収360万円)の場合
月収30万円(年収360万円)、独身・扶養なし・40歳未満・東京都在住・協会けんぽ加入を前提に計算します。
社会保険料の計算:
| 項目 | 料率(従業員負担) | 月額概算 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 4.95%+0.115% | 約15,195円 |
| 厚生年金保険料 | 9.15% | 約27,450円 |
| 雇用保険料 | 0.5% | 約1,500円 |
| 社会保険料合計 | — | 約44,145円 |
税金の計算(概算):
- 所得税:月約4,000〜5,000円程度
- 住民税:月約15,000〜16,000円程度(前年所得に基づく)
手取りの概算:
300,000円 − 44,145円(社会保険料)− 5,000円(所得税)− 15,500円(住民税)= 約235,000円
月収30万円の場合、手取りは月約23〜24万円程度が目安となります。
計算例②:月収50万円(年収600万円)の場合
月収50万円(年収600万円)、独身・扶養なし・40歳未満・東京都在住・協会けんぽ加入を前提に計算します。
社会保険料の計算:
| 項目 | 料率(従業員負担) | 月額概算 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 4.95%+0.115% | 約25,325円 |
| 厚生年金保険料 | 9.15% | 約45,750円 |
| 雇用保険料 | 0.5% | 約2,500円 |
| 社会保険料合計 | — | 約73,575円 |
税金の計算(概算):
- 所得税:月約20,000〜22,000円程度
- 住民税:月約35,000〜38,000円程度(前年所得に基づく)
手取りの概算:
500,000円 − 73,575円(社会保険料)− 21,000円(所得税)− 36,000円(住民税)= 約369,000円
月収50万円の場合、手取りは月約37万円前後が目安となります。年収600万円でも、実際に使える金額は年間で約440〜460万円程度になります。
賞与(ボーナス)の手取り計算
賞与から引かれるものは月給と少し異なる
賞与からも、社会保険料と所得税が差し引かれます。ただし、賞与の所得税計算方法は月給と異なり、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(令和8年分 源泉徴収税額表)を使用します。
賞与の社会保険料は、月給と同じ料率が適用されます。一方、住民税は賞与から直接差し引かれず、前年の所得をもとに毎月の給与から均等に差し引かれます。
賞与の手取り計算例
年収600万円(月収40万円+賞与年2回・各100万円)の場合、賞与100万円からの控除の目安は以下の通りです。
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 健康保険料(従業員負担) | 約50,650円 |
| 厚生年金保険料(従業員負担) | 約91,500円 |
| 雇用保険料(従業員負担) | 約5,000円 |
| 所得税 | 約60,000〜80,000円 |
| 合計控除額 | 約207,000〜227,000円 |
賞与100万円の手取りは、おおよそ77〜79万円程度が目安となります。
手取り計算で使えるツールと注意点
オンライン計算ツールの活用
手取り計算を自分で行うのは複雑なため、オンラインの計算ツールやシミュレーションを活用するのが便利です。ただし、ツールによって前提条件(保険料率・控除額・扶養の有無など)が異なるため、算出された金額はあくまで目安として参考にしてください。
正確な手取り額を把握したい場合は、実際の給与明細に記載されている控除額を確認するか、会社の人事・総務部門に確認するのが確実です。
手取り計算で注意が必要なポイント
手取り計算には、いくつかの変動要素があります。
介護保険料: 40歳以上65歳未満の方には介護保険料の負担が加わります。介護保険料率は加入している健康保険組合によって異なります。
住民税の特性: 住民税は前年の所得をもとに計算されるため、転職や収入の変動があった年の翌年に影響が出ます。転職活動をする際は、この点に注意が必要です。
各種手当の扱い: 通勤手当は一定額まで非課税ですが、住宅手当や家族手当は課税対象になります。額面に含まれる手当の内訳によって、実際の税負担が変わります。
転職活動時の注意点
転職活動では、提示された年収が額面なのか手取りなのかを必ず確認しましょう。一般的に求人票に記載される年収は額面です。また、転職後の会社で加入する健康保険が協会けんぽか組合健保かによって、保険料率が異なる場合があります。
さらに、転職のタイミングによっては住民税の支払い方法が変わることがあります。退職後に給与から天引きされなくなった場合、自分で住民税を納付する必要があるため、手取り額の管理に注意が必要です。転職を検討している方は、先取り貯蓄の始め方も参考に、収入変動期の家計管理を事前に準備しておくとよいでしょう。
手取りを増やすために知っておきたいこと
控除を活用して所得税・住民税を減らす
手取りを実質的に増やす方法の一つが、各種控除の活用です。iDeCo(個人型確定拠出年金)やふるさと納税などを利用することで、課税所得を減らし、所得税や住民税の負担を軽減できます。
家族構成や住宅ローンの有無によっても利用できる控除の種類が変わります。自分に合った控除を活用することで、実質的な手取りを増やすことができます。税金や控除について詳しく知りたい方は、預金利息の税金・計算の記事も参考にしてみてください。
手取りを賢く管理・運用する
手取り額が確定したら、次は毎月の家計をどう管理するかが重要です。固定費の見直しや節約を組み合わせることで、貯蓄に回せる金額を増やすことができます。水道光熱費の節約方法のような固定費削減も、手取りを有効活用する手段の一つです。
手取りから確保した貯蓄を、少しでも有利な条件で預けることも大切です。たとえば、Habittoの貯蓄口座なら、条件なしで年利0.7%(税引後0.557%)の金利が適用されます(預金額100万円まで)。メガバンクの普通預金金利が年0.3%であることと比べると、約2.3倍の金利水準です。
毎月の手取りから一定額を先取りして貯蓄口座に移す習慣をつけると、コツコツとお金を育てることができます。Habittoの口座開設は最短8分、スマホだけで完結します。
給与明細を定期的に確認する習慣を
毎月の給与明細には、支給額・各控除額・手取り額が記載されています。定期的に確認することで、社会保険料の変動や税金の計算が正しく行われているかをチェックできます。
特に転職後や昇給後は、保険料の等級が変わる可能性があるため、給与明細の内訳を必ず確認するようにしましょう。把握しておくことで、家計計画をより正確に立てることができます。
よくある質問
Q. 年収と月収の手取り計算は別々にするの?
基本的に、月収の手取りを12倍したものが年間の手取りの概算になります。ただし、賞与がある場合は別途計算が必要です。また、住民税は前年の所得をもとに計算されるため、月々の天引き額は必ずしも当年の所得に対応しているわけではありません。
Q. 扶養家族がいると手取りはどう変わる?
扶養家族がいる場合、配偶者控除や扶養控除が適用されるため、所得税・住民税の負担が軽減されます。その結果、同じ額面でも手取り額が独身の場合より多くなります。扶養の条件や控除額は家族の状況によって異なります。
Q. 40歳になると手取りが減るって本当?
40歳以上65歳未満になると、健康保険料に介護保険料が加わります。介護保険料の負担が増えるため、40歳の誕生月から手取り額がやや減少します。介護保険料率は加入している健康保険組合によって異なりますが、数千円程度の変動が一般的です。
Q. 転職後に住民税が二重払いになることはある?
転職のタイミングによっては、退職した会社で一括徴収された住民税と、新しい会社での天引きが重なるように感じることがあります。ただし、実際に二重払いになることはなく、支払う住民税の総額は変わりません。転職前後の給与明細と住民税の通知書を確認することをおすすめします。
まとめ:手取りを知ることが家計管理の第一歩
手取りと額面の違いを正しく理解することは、家計管理や将来の資産形成の基礎となります。社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)と税金(所得税・住民税)が差し引かれた後の手取り額が、実際に生活に使える金額です。
2026年度の税制改正では基礎控除の引き上げや給与所得控除の最低保障額の引き上げが行われ、特に年収665万円以下の中低所得者には手取りの改善が期待できます。また、社会保険の適用拡大により、パートタイム労働者の手取り額に変動が生じる可能性もあります。
手取り額を把握したら、次のステップは「その手取りをどう管理し、増やすか」です。毎月の手取りから一定額を先取り貯蓄に回し、有利な金利の口座で着実に積み立てていくことが、長期的な資産形成への近道です。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の金融アドバイスではありません。具体的なご判断はご自身の責任で行ってください。
参考・出典
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(2026年4月)
- 国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」(2026年4月)
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」(2026年)
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」(令和6年9月公表)
- 全国健康保険協会「令和8年度保険料率のお知らせ」(2026年3月分から適用)
- 全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)」
- 厚生労働省「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」(2026年4月1日から適用)
- 厚生労働省「手取り額の変化について|社会保険適用拡大特設サイト」(2026年4月時点)
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」(2026年)
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