収入と所得の違いを正しく理解する【2026年版】手取り・計算方法を解説
収入と所得の違いを正しく理解する【2026年版】手取り・計算方法を解説
「年収と所得って、同じじゃないの?」
そう思っている方は、実はとても多いです。しかし収入と所得は明確に異なる概念であり、混同すると所得税の計算結果がまったく変わってきます。確定申告や各種書類の記入でも、どちらの金額を使うかによって申告内容が大きく異なります。
この記事では、収入・所得・手取りの違いを、具体的な計算例を交えながらわかりやすく解説します。会社員の方も、個人事業主の方も、ぜひ参考にしてみてください。
この記事のアドバイザー
手取り・収入金額・所得金額の計算方法
収入と所得の違いとは?基本の意味を整理する
「収入」と「所得」は日常会話では同じ意味で使われがちですが、税法上は明確に区別されています。
国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」によると、収入とは税金・社会保険料を差し引く前の総額のことを指します。給与・賞与・手当の合計などがこれにあたります。一方、所得とは収入から必要経費(給与所得者の場合は給与所得控除)を差し引いた金額のことです。
つまり、「収入金額」はいわゆる「稼いだ総額」であり、「所得金額」はそこから経費や控除を引いた後の金額です。所得税はこの所得金額をベースにさらに各種控除を引いた「課税所得」に対して計算されます。
所得の10種類と、それぞれの意味
所得税法では、所得をその性質によって10種類に区分しています(国税庁「所得税のしくみ」)。
| 所得の種類 | 主な対象 |
|---|---|
| 利子所得 | 預貯金の利子など |
| 配当所得 | 株式の配当など |
| 不動産所得 | 家賃収入など |
| 事業所得 | 個人事業主の事業による収入 |
| 給与所得 | 会社員の給与・賞与など |
| 退職所得 | 退職金 |
| 山林所得 | 山林の売却益 |
| 譲渡所得 | 不動産・株式などの売却益 |
| 一時所得 | 懸賞金・保険の満期金など |
| 雑所得 | 公的年金・副業収入など |
雑所得とは、上記のいずれにも該当しない所得をいい、公的年金のほか、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します(国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」)。種類によって必要経費の範囲や計算方法が異なるため、自分の収入がどの種類に当たるかを正しく把握することが大切です。
会社員の所得の計算方法
会社員の場合、「給与収入」から「給与所得控除」を差し引いた金額が「給与所得」になります(国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」)。
給与所得控除は、会社員が自分で必要経費を計上できない代わりに、一定額を収入から差し引ける制度です。令和7年度税制改正により、給与所得控除の最低保障額は55万円から65万円に引き上げられ、令和7年分以後の所得税に適用されます(国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」)。
計算例①:年収400万円の会社員の場合
- 給与収入(年収):400万円
- 給与所得控除額:124万円(収入金額に応じて決まる)
- 給与所得:400万円 − 124万円 = 276万円
この276万円がさらに基礎控除などの所得控除の対象となり、最終的な課税所得が算出されます。所得税はその課税所得に累進税率をかけて計算されます。
手取りとは?所得とどう違う?
「手取り」とは、給与から所得税・住民税・社会保険料などが差し引かれた後に実際に受け取る金額のことです。総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」では、二人以上の勤労者世帯の実収入(税込み)と可処分所得(手取り)を区別して集計しており、可処分所得は実収入から非消費支出を差し引いた金額と定義されています。
つまり、収入・所得・手取りの関係は次のように整理できます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 収入(収入金額) | 税引前の総額 |
| 所得(所得金額) | 収入から必要経費を差し引いた金額 |
| 課税所得 | 所得から所得控除を引いた金額 |
| 手取り | 税金・社会保険料を引いた実際の受取額 |
生活費の管理には「手取り」を基準にするのが実態に合っており、税務申告には「所得金額」を使うのが基本です。この違いを正しく理解しておくと、各種サービスや制度の利用時にも迷いにくくなります。
個人事業主の収入と所得の考え方
個人事業主の場合、事業による売上全体が「収入金額(事業収入)」です。そこから事業に必要な必要経費を差し引いた金額が「事業所得」になります。
必要経費には、仕事に直接関係する費用(材料費・通信費・家賃の一部など)が含まれます。収入から必要経費を差し引いた後の所得金額が、所得税の計算のベースになります。
計算例②:年間売上600万円の個人事業主の場合
- 事業収入(売上):600万円
- 必要経費:220万円(通信費・家賃按分・材料費など)
- 事業所得:600万円 − 220万円 = 380万円
この380万円から、さらに基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を引いた金額が課税所得となります。必要経費を正しく計上することが、税負担を適正に抑えるうえで重要です。
個人事業主は毎年確定申告を行い、この収入と所得を自ら申告する必要があります。確定申告書には「収入金額」と「所得金額」を分けて記載する欄があるため、両者の違いを正しく把握しておくことが求められます。
令和7・8年度の税制改正で何が変わる?
近年、給与所得控除と基礎控除の見直しが続いています。正しく理解しておくと、手取りへの影響も把握しやすくなります。
令和7年度改正(令和7年12月1日施行・令和7年分以後適用)
- 給与所得控除の最低保障額:55万円 → 65万円に引き上げ
- 基礎控除:合計所得金額132万円以下の場合、最大95万円(改正前48万円)
令和8年度改正(令和8年12月1日施行・令和8年分以後適用)
- 基礎控除の本則:合計所得金額2,350万円以下の場合、4万円引き上げ
- 給与所得控除の最低保障額:65万円 → 69万円に引き上げ
- 令和8・9年分の特例として給与所得控除がさらに5万円上乗せ
- 結果として、給与所得者の課税最低限(いわゆる「年収の壁」)は178万円まで引き上げ
(出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」令和7年12月26日閣議決定、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」令和8年4月公表)
令和8年11月までの源泉徴収事務には変更はなく、令和8年12月に行う年末調整から変更が生じます。控除額が変わると課税所得も変わるため、年末調整や確定申告の際には最新の情報を国税庁サイトで確認するようにしましょう。
源泉徴収票の見方:会社員が収入と所得を確認する方法
会社員が自分の収入金額・所得金額を確認するには、毎年勤務先から交付される源泉徴収票を見るのが最も確実です。
源泉徴収票には以下の情報が記載されています。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| 支払金額 | 給与収入(収入金額) |
| 給与所得控除後の金額 | 給与所得(所得金額) |
| 所得控除の額の合計額 | 各種控除の合計 |
| 源泉徴収税額 | 天引きされた所得税額 |
確定申告や住民税の申告を行う際は、この源泉徴収票の「支払金額」と「給与所得控除後の金額」を正しく使い分けることが注意点です。書類に記載する欄を間違えると、申告内容に誤りが生じる可能性があります。
お金の管理に役立てる:収入・所得の理解を生活に活かす
収入と所得の違いを理解すると、日々のお金の管理にも役立ちます。たとえば、20代の資産運用の始め方を考えるとき、自分の「手取り」を正確に把握することが、無理のない投資額を決める第一歩になります。
また、副業収入がある方は、その収入が雑所得として扱われることが多く、確定申告が必要になる場合があります。フリーターの貯金方法でも触れているように、収入の種類に応じた管理が、将来の貯蓄につながります。
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よくある質問
Q. 年収と収入は同じですか?
一般的に「年収」とは1年間の給与収入(税引前の総額)を指すことが多いです。会社員の場合は源泉徴収票の「支払金額」が年収に相当します。個人事業主の場合は「年収」の定義が異なり、売上から必要経費を差し引いた事業所得を指すこともあります。雇用形態によって意味が変わる点に注意が必要です。
Q. 確定申告で「収入金額」と「所得金額」のどちらを記入すればよいですか?
確定申告書には「収入金額」と「所得金額」の両方を記入する欄が別々にあります。収入金額は必要経費を引く前の金額、所得金額は収入から必要経費(または給与所得控除)を差し引いた金額です。書類の記入欄をよく確認し、正しく使い分けてください。
Q. 公的年金も「所得」になりますか?
公的年金は雑所得として扱われます(国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」)。年金収入から公的年金等控除額を差し引いた金額が雑所得となり、一定額を超える場合は確定申告が必要です。
まとめ:収入と所得の違いを正しく把握して、お金を上手に管理しよう
収入・所得・手取りは、それぞれ異なる意味を持つ言葉です。税務申告や各種書類の記入で正しく使い分けることはもちろん、日々の家計管理においても「手取り」を基準にした収支把握が大切です。
令和7・8年度の税制改正により給与所得控除や基礎控除が見直されているため、自分の課税所得がどう変わるかを把握しておくと、将来の資産形成計画も立てやすくなります。車の購入資金の貯め方のように、具体的な目標金額を決めて貯めていく際にも、手取りベースの計算が基本になります。
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※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の金融アドバイスではありません。具体的なご判断はご自身の責任で行ってください。
参考・出典
- 国税庁「所得税のしくみ」(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」(令和7年4月1日現在法令等)
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」(令和7年5月30日公表)
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」(令和7年12月26日閣議決定)
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(令和8年4月公表)
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」(2025年2月6日公表)
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